― ゲーム機修理で使い分けている3つの手法 ―
レトロゲーム機や家庭用ゲーム機の修理を行っていると、SMDコンデンサ(表面実装コンデンサ)の取り外し作業は避けて通れません。
スルーホール部品とは異なり、SMDコンデンサはハンダを溶かす場所が限られており、無理に外そうとするとパターン剥離などのトラブルにつながることもあります。
そのため、ハンダ作業の基礎を理解していても、SMD取り外し作業に不安を感じる方は少なくありません。
本記事では、実際のゲーム機修理の現場で使用している 3つの取り外し方法 について、私の経験に基づいて、それぞれの特徴や注意点を解説します。
基板の状態に応じて手法を選択する判断材料として参考にしてください。
SMDとは Surface Mount Device(サーフェス・マウント・デバイス) の略です。
日本語では一般的に「表面実装部品」と呼ばれています。
方法①:2本のハンダごてで両端子を同時に温める方法
概要

電解コンデンサの左右の端子を、2本のハンダごてで同時に加熱し、ハンダを溶かした状態でコンデンサを取り外す方法です。
低予算でDIY修理を行う場合によく用いられる方法で、
電解コンデンサなどハンダ2点で固定されている部品に対しては定番の手法と言えます。
メリット
- 慣れると作業が早く済む
- パッドへのダメージが少ない
- 取り外し後の基板状態がきれい
デメリット
- ハンダごてが2本必要
- 他の場所にハンダが付く場合がある
- 両手作業になるため慣れが必要
- 古い基板ではハンダが溶けない場合がある
- こて先が入るスペースが必要
向いているケース
- 比較的新しいゲーム機の基板
- 液漏れがない、または軽度な劣化の基板
- パターンを可能な限り残したい場合
専用工具は高価
ホットツイーザーという専用のピンセット型ハンダごてが各社存在しますが、
価格が高く、DIY用途ではコスト面や汎用性の点で導入をためらう方も多いと思います。
私自身も、ホットツイーザーを導入できた際には改めて使用感をまとめたいと考えています。
(今は持っていません💦)
方法②:金属疲労を利用してねじ切る方法
概要


ネジザウルスやラジオペンチなどでコンデンサ本体を掴み、少しずつ回すように往復してひねることで金属疲労を起こし、端子を折って取り外す方法です。
一見すると強引に見える手法ですが、基板の状態によっては有効な手段となります。
少し下にネジザウルスのご紹介をしてますのでよろしければご覧ください。
メリット
- ハンダごて1本で作業できる
- ハンダが溶けにくい基板でも対応可能
- 液漏れで端子が腐食している場合に有効
デメリット
- コンデンサのベース(四角の黒いやつ)や端子が基板側に残る
- 力加減を誤るとパッドを損傷する可能性がある
- 取り外し後のパッドを整えるのに手間がかかる
向いているケース
- コンデンサが密集していて、はんだごてが入りにくい場合
- ハンダ表面が劣化している古い基板
- 液漏れが進行し、加熱作業が困難な場合
古いレトロゲーム機や腐食が進んだ基板では、この方法を選択することも少なくありません。
金属疲労を利用する際に使っている工具について(ネジザウルス)
金属疲労を利用してSMDコンデンサを取り外す場合、
コンデンサ本体をしっかり掴める工具が重要になります。
私がこの作業でよく使っているのが、
ENGINEER(エンジニア)の「ネジザウルス」です。
一見すると「ネジ外し専用工具」という印象が強いですが、
先端のギザ形状が非常によくできており、SMDコンデンサの胴体を縦方向にしっかり掴める点が気に入って使用しています。
ラジオペンチと比べると、
- 縦に掴めるため、周囲の部品に干渉しにくい
- 掴んだ瞬間の食いつきが良い
- 軽い力でも滑りにくい
- 細かい往復動作が行いやすい
といった点で、作業中の安心感が違います。
ネジザウルスは本来ネジ用の工具ですが、
ゲーム機修理や基板作業でも意外と出番の多い一本だと感じています。
使用しているモデルについて
私が使用しているのは、
やや大きめで先端が長い ネジザウルスZ PZ-60 です。
コンデンサが密集した基板でも掴みやすく、重宝しています。
一方で、
コンパクトで汎用性の高い ネジザウルスGTV PZ-58 でも、
SMDコンデンサの取り外し作業は十分対応可能です。
- いろいろな用途に使いやすい
👉 ネジザウルスGTV PZ-58(🔗Amazonで確認する) - 私が使用している先端の長いモデル
👉 ネジザウルスZ PZ-60(🔗Amazonで確認する ※ストア欠品中) - 一番コンパクト
👉 ネジザウルスZ PZ-57(🔗Amazonで確認する)
ネジザウルスシリーズは、
先端がネジを掴める構造になっているため、
基本的にはどのモデルでも問題なく使用できます。
工具選びの参考になれば幸いです。
方法③:ヒートガンで基板全体を温めて外す方法
概要
ヒートガンを使用してハンダ面周辺を加熱し、ハンダが溶けたタイミングで部品を取り外す方法です。
しかし、温度管理が難しく加熱しすぎると危険なコンデンサ除去作業にはお勧めできません。
主にICなどの取り外しの際に使用する方法です。
メリット
- 複数のコンデンサを同時に外せる
デメリット
- コンデンサを加熱しすぎそうで怖い
- 加熱による基板の変形を考慮しないと、他の部品に影響が出る
- 周囲の樹脂部品を損傷する恐れがある
- 風圧で周囲の部品が移動・脱落する
- ヒートガンの騒音が大きく、作業時間帯に配慮が必要
(私のように夜に作業することが多い場合は使用をためらいます)
向いているケース
- 作業経験が十分にある中級者以上
- 温度管理と作業環境を適切に制御できる場合
扱いを誤るとダメージが大きいため、初心者には推奨しにくい方法です。
3つの方法の比較
私の感覚としては、この表のような感じです。
| 方法 | 取り外し後 | パターン保護 | 作業難易度 | 適した基板状態 |
|---|---|---|---|---|
| ① 2本はんだごて | きれい | 良い | 中 | 新しめ・軽度劣化 |
| ② 金属疲労 | 部品が残る | 悪い | 低 | 古い・液漏れ |
| ③ ヒートガン | きれい | 普通 | 高(基板が変形する) | 新しめ・軽度劣化 |
まとめ
SMDコンデンサの取り外しは、基板の状態や劣化具合によって最適な方法が変わります🔧
新しめの基板でハンダごてを使った安全な方法が有効ですし、液漏れや腐食が進んだ基板では、金属疲労を利用した方法が助けになる場面もあります。
大切なのは「この方法が正解」と思い込まないことが大切です😊
工具や手法を状況に応じて使い分けることで、基板へのダメージを抑えつつ作業効率も上げることができます。
ネジザウルスのような“本来は別用途”の工具が、修理作業で思わぬ活躍をしてくれるのもDIY修理の面白さのひとつですね🛠️
少しずつ経験を積みながら、まだ直せるゲーム機を救っていきましょう🎮✨


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